甲状腺機能亢進症
(バセドウ病)

甲状腺機能亢進症
(バセドウ病)とは

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)とは甲状腺機能亢進症とは、甲状腺の機能が異常に高くなる(亢進する)病気です。
甲状腺ホルモンの分泌が過剰になり、多汗、暑がり、食欲亢進、体重減少、動悸、息切れ、ふるえ、不眠などの症状を伴います。

甲状腺とは身体の新陳代謝に関わる臓器です

甲状腺から分泌される「甲状腺ホルモン」は、身体の新陳代謝を促進するホルモンです。

甲状腺の位置

甲状腺の位置甲状腺は、のどぼとけのすぐ下にあります。

特徴

  • 蝶々が羽を広げたような形をしています。
  • 重さ:20~30グラム
  • 高さ:3~5センチ
  • 普段は触っても分かりませんが、腫れたときには確認できます。

主な機能・役割

  • 機能:甲状腺ホルモンを分泌しています。
  • 役割:身体の新陳代謝を促進しています。

甲状腺機能亢進症
(バセドウ病)の症状や原因

甲状腺機能亢進症の症状、原因をご紹介します。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)になると目が飛び出るって本当?

甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、外眼筋、眼窩脂肪が炎症を起こし、これより眼窩内圧が上昇し、眼が前方へ飛び出すことがあります(眼球突出)。

その他の症状

全身
  • 疲労感
  • 倦怠感
  • 暑がり
  • 体重減少
体温
  • 高温
神経・精神的な症状
  • イライラ
  • 集中力低下
  • 落ち着かない
  • 不眠
循環器症状
  • 動悸
  • 息切れ
  • 脈が速い(頻脈)
  • むくみ
  • 心不全
消化器の症状
  • 食欲亢進
  • 口の渇き
  • 軟便、下痢
  • 排便回数の増加
皮膚の症状
  • 多汗
  • 脱毛
  • 皮膚が黒くなる
  • かゆみ
筋骨の症状
  • 筋力低下
  • 脱力感
  • 手足のふるえ
  • 骨粗鬆症
月経
  • 月経不順
  • 無月経
  • 不妊
血液
  • コレステロール値の低下
  • 血糖値の上昇
  • 血圧の上昇
  • 肝臓障害

原因

「抗TSHレセプター抗体」と呼ばれる異常な抗体がつくられ、これが誤って甲状腺を刺激するために、甲状腺ホルモンの分泌が過剰になります。
抗TSHレセプター抗体がなぜ産生されるのか、はっきりしたことは分かっていません。ただ、遺伝、ストレス、過労、感染症、妊娠、出産などが関係しているのではないか、と言われています。

甲状腺機能亢進症
(バセドウ病)の検査

甲状腺機能亢進症が疑われる場合には、血液検査、超音波検査を行い、診断します。

血液検査

血液検査甲状腺ホルモンや甲状腺刺激ホルモンの量、抗サイログロブリン抗体、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体の有無を調べます。

超音波検査

甲状腺の大きさ、甲状腺内部の状態を調べます。甲状腺機能亢進症の場合、甲状腺の腫れ、甲状腺内部の不均質などが認められます。

甲状腺機能亢進症
(バセドウ病)と妊娠との関係

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)と妊娠との関係甲状腺機能亢進症の治療が十分でなく、甲状腺ホルモンの分泌量が多いままでは、早産・流産、あるいは妊娠中毒症のリスクが高くなると指摘されています。
適切な治療によって甲状腺ホルモンの量をコントロールしながら、妊娠や出産を迎えます。また、妊娠前に手術による治療を済ませておく、という方法もあります。

甲状腺機能亢進症
(バセドウ病)の治療法

甲状腺機能亢進症の治療には、以下のようなものがあります。
手術、アイソトープ治療が必要になった場合には、提携する病院をご紹介します。

薬物療法

抗甲状腺ホルモン薬によって、甲状腺ホルモンの量を減らします。
少しずつ量を減らしながら、1~2年、内服を継続します。病状が落ち着き、内服をやめることも可能ですが、再発率は約70%にものぼります。

手術

甲状腺の一部のみを残し、切除します。甲状腺の腫れが大きい場合、甲状腺に腫瘍がある場合などには、手術を行うことが多くなります。

アイソトープ治療

甲状腺組織がヨウ素を取り込む性質を持っていることを利用した治療です。131Iという放射線を出すヨウ素を内服し、甲状腺の内側から細胞を破壊することで、甲状腺ホルモンの量を減らします。

甲状腺機能亢進症
(バセドウ病)の食事

甲状腺機能亢進症の症状の1つに、食欲亢進があります。しかし、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることでエネルギーが大量に消費されるため、太らず、むしろやせていきます。
治療を開始すると、エネルギーの消費は抑えられるものの、食欲はなかなか治まりません。すると当然、太ってしまいます。体重増加・肥満は、生活習慣病の原因となります。また、心臓への負担を大きくします。

ポイント

カロリーコントロールをしましょう。

肥満の方は、1日の摂取カロリーを1,200~1,500キロカロリーのあいだに収めましょう。

バランスのよい食事を

カロリーコントロールをしても、栄養が不足してしまってはいけません。
栄養バランスのよい食事をとりましょう。

毎日3食をきっちりと

朝、昼、夕の、できるだけ決まった時間に食事を摂るようにしましょう。

小まめな水分補給

症状の1つに、多汗があります。水分は小まめに補給しましょう。ジュースを避け、水、お茶などがおすすめです。

刺激物を避ける

代謝が必要以上に上がらないように、刺激物は避けましょう。

飲み過ぎ・喫煙を避ける

アルコールは、心臓、肝臓に負担をかけます。また喫煙は、バセドウ病眼症のリスクを高めると言われています。禁煙をしてください。

ヨウ素を摂り過ぎないように

あまり神経質になる必要はありませんが、海藻類などに含まれるヨウ素を摂り過ぎないように注意してください。

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